京都こども六斎教室連絡会
上鳥羽六斎ジュニア
2020年7月〜10月に、上鳥羽六斎ジュニアの練習を訪問しました。
●インタビュアー
テンテン
大学の研究課題で六斎念仏に出会い、日夜研究に励んでいる。
●聞いた人
川勝ご夫妻
上鳥羽橋上鉦講中の念仏六斎を継承する一方で、親子教室で子どもたちに六斎念仏を指導されている。
今回おじゃまするのは、上鳥羽六斎ジュニアさんです!
上鳥羽小学校内の「ふれあいサロン」で練習をされていたので、その様子を見学させていただいています。
指導にあたっている川勝さんご夫妻にお話を伺ってみたいと思います。
よろしくお願いします!
お願いします。
上鳥羽六斎念仏といえば、京都では貴重な念仏六斎を伝承されている団体だと聞きましたが、芸能もしているのですか?
はい、大正時代を最後に途絶えていた芸能六斎を、平成23年に復活させました。
大正時代というと、今から100年くらい前ですよね!?
どうして復活させようと思ったのですか?
実はこの教室を始める前、念仏六斎の参加者が年々少なくなってました。
このままだと大切な念仏六斎の伝承までなくなってしまうんじゃないかと心配してたんです。
そうなんです。
それで何か活気のある取り組みをしてみたいと思っていた時、壬生六斎念仏講中の方々のご配慮で朱雀六斎キッズ教室さんの取り組みを見学させていただいたんです。
子どもたちが六斎の伝承に取り組んでいる姿を見て、主人や上鳥羽の講中の皆さんがうちの地域でもこれをやってみたい、と思ったんです。
私たちは昔から、再び上鳥羽の地域で芸能六斎を見たいという人たちの声を聞いて育ってきました。
なので芸能六斎を復活させることは念願だったんですよ。
なるほど
えっ!でも、いくら念願だったとはいえ、どうして念仏六斎の伝承が大変な中、あえて芸能六斎を子どもに教えたいと思ったのですか?
もちろん、子どもに念仏をしてもらいたい気持ちはありました。
でも、子どもたちにいきなり念仏を教えるのは難しすぎると思ったからです。
まずは興味を持ってもらいやすい太鼓を叩くというところから始めてみて、そこから少しでも念仏六斎にも感心を持ってくれたらいいなと思ったんです。
じゃあ大成功だったのですね!
今の上鳥羽六斎では、たくさんの子どもが念仏六斎に参加しています。
念仏や地域の伝統の行事も、中高生が中心になって活躍してくれるようになりました。教室を始めなければ継承者がいなくて大変だったかもしれません。
子どもたちだけじゃないんですよ。保護者や地域の方々とのつながりもできて、どんどん活気が出てきました。
こういう地域の伝統や人との関わりを、子どもたちも学んでくれていると思います。
なるほど、親子教室が危機を救ったのですね!
はい、おかげさまで今では教室に30人以上の子どもたちが参加してくれていますし、大きくなって、教室から講中に入ってくれた子も出てきました。
ここまで子どもたちに興味を持ってもらえるなんて、驚きでした!
それはきっと、練習や発表の場が楽しくてやりがいがあったからですね。
子どもたちにはどんな指導を心がけられていますか?
演技自体の指導はもとより、うちはとにかく行儀作法です!
お寺や神社の奉納の場所はもちろん、いろんな人と接するイベントで、順番が来るまで静かに待機したり、お礼をしたり、そういう所も大事と思っています。
上鳥羽六斎ジュニアさんの統制のとれた演技はこういう所にあらわれているのですね!
小さな子どもにはなかなか忍耐の要る事と思いますが、社会に出ても必ず役に立つことなので、頑張ってもらってます。
あと、やる気を持ってもらえるように、いろんな役割を子どもたちに与えているんです。
役割、というと??
たとえば、この演目のセンターは一番上手いこの子、というように決めておきます。
その子はきっと責任を感じて緊張するかもしれません。でもそういう責任を果たさないといけない状況こそ、子どもをもっと成長させるんだと気づいたんです。
もちろんその子だけ贔屓にするという意味じゃないんですよ。主演を外れてしまった子も次は主役になりたくて、必死に頑張ってくれるんです。
なるほど、お互いにセンターをかけて切磋琢磨し合うことがねらいなのですね!
六斎教室では、どういうことを子どもたちに伝えていきたいですか?
はい、努力に応じて六斎でしか得難い達成感を味わってもらえたらと思っています。
あとはやはり地域の伝統を継承することの大切さです。子どもたちが大きくなっても、長く継承してもらえると嬉しいです。
念仏六斎を伝えてきたからこその、礼儀の大切さや伝統を継承したいという想いがあるのですね。
子どもたちの演技をみていたら、子どもたちに伝わっているのがわかります。
今日はありがとうございました!
最後に8月19日におじゃました時の様子をお送りして、教室訪問を終わります。